<空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン>(下)《群衆》 都市への問題意識込める

2024-08-22 HaiPress

1973年フォロン財団©Fondation

Folon,ADAGP/PARIS,2024-2025

空には温かくやわらかな光を放つ大きな太陽。無表情だが、どことなくユーモラスな顔をしたロボットのような物体が、爽やかな色合いで水彩のぼかしを巧みに使って描かれる。主要な構成要素は丸と四角だけ、構図もとてもシンプルだ。はて、この群衆は一体なんだろう?

フォロンは1973年に自身の作品集「木は死んだ」を出版している。そこには茫漠(ぼうばく)とした風景の中に、身体の一部が機械と化した人間や、伐採され、れんが模様で埋め尽くされた木などを題材にした24点の水彩画が収められている。これとよく似た作品もあり、どうやらこの集団はビル群であるようだ。無個性なその姿かたちは、どこを切り取っても同じような画一的な都市をフォロンなりに批判しての表現だろう。群衆の鼻はフォロンが都市の象徴として用いた矢印で表されている。

フォロンの制作は、現実世界の観察を基にしている。一見、爽やかな画面には、非人間的な都市に対するフォロンの問題意識が込められている。(東京ステーションギャラリー学芸員半澤紀恵)

「空想旅行案内人ジャン=ミッシェル・フォロン」展は9月23日まで東京都千代田区の東京ステーションギャラリーで開催中。詳細は同館ホームページにて。


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